法然房源空＝法然の思想と人間性を読む！「法然その人と教えひとりも捨てず」石上善応監修

2021/09/12 19:46

吐く息吸う息が念仏だった。読めば人間愛あふれる法然上人が目の前に現われる。すずき出版まいとりぃ選書の名著

法然その人と教えひとりも捨てず　石上善応監修

金戒光明寺法然上人像（鏡御影）
令和3年（2021年）8月29日　村内伸弘撮影

すべての人が救われる道を教えてくれるすばらしい本でした！
8月の終わりに一気に読みました。

毎晩枕元で聞いている「NHKこころをよむ浄土三部経」というカセットテープの「観無量寿経」を担当している石上善応さんがこの本を監修しているということを知って、中古で買ってすぐに読みました。

すずき出版まいとりぃ選書

すべての人が救われる道を求め、慈悲と平等の精神を貫いた鎌倉新仏教の先駆者。法然の温かな人となりを描き、その偉大なる "選択"の思想の意義を現代に問う。

●法然の生涯: 求道と救済の二つの側面から法然の生涯を描き、日本仏教史上画期的ともいえる「他力への転回」の過程を明かす。
●浄土教の流れ: インドから中国、そして日本に続く浄土教の流れを紹介し、法然が浄土宗を開創するに至った道程をたどる。
●浄土三部経: 浄土宗の根本聖典である「無量寿経」「観無量寿経」「阿弥陀経」の概要を平易に解説する。
●法然の著作と思想: 法然の代表的著作「選択集」をはじめとし、書簡、法語などから法然の思想と、その人間性を浮き彫りにする。

念仏さえ称えれば、弥陀一仏が自ら来迎され、その救いにあずかり、西方の極楽浄土に必ず往き生まれることができる、という救済の保証が完成された。

オレンジ色のマーカーを引きながら読み進めましたが、本の中は予想通りオレンジだらけになりました。石上善応さんはすでにお亡くなりになっているようなのですが、カセットテープの解説同様、仏教理解＆法然理解がスゴイです！！

というか、人間理解がすばらしいです！
人間を理解した石上さんが、同じく人間を理解した法然上人について書いたわけですから、一文字一文字が胸に染みました。

民衆とともに生き、民衆を憐れみ、底辺にうごめく人々のために念仏という単純な行為一つを選択した法然房源空。

「ただそのままで、ひたすら念仏を称えなさい。」
名もなき人たちに平等に注がれる仏の光。

「凡夫こそ、阿弥陀仏に救われる正客である。」
人間観を前面に押し出した新しい仏教。

「一切衆生、悉有仏性」
すべての人が救われる道を求めた法然上人は、やがて「だれにでも、どこでも、いつでも」できる念仏による救いの道に到達します。仏の本願が民衆の一人である煩悩にまみれた罪深い自分のためにあることに感動します。選択本願念仏の思想、そうです浄土宗の誕生です！念仏以外の行はすべて捨てられたのです。法然上人に優しく導かれ、温かい言葉を掛けられ、多くの人たちが生きている意味を与えられたのです。