一遍聖絵・極楽寺絵図にみるハンセン病患者 ~中世前期の患者への眼差しと処遇~
一遍上人や忍性などの遁世僧が「非人(癩者や乞食)」を救済していた!
一遍聖絵・極楽寺絵図にみるハンセン病患者 ~中世前期の患者への眼差しと処遇~(編集・発行 国立ハンセン病資料館)
人権週間ということで、先日、国立ハンセン病資料館に行ったときに無料でもらったこの資料集を読みました。一昨年2013年春季企画展の時の刊行物なんですが、資料館に行けば誰でも直接無料配布してもらえます。
「一遍聖絵」や「極楽寺絵図」がとてもキレイに印刷されていて感動するとともに、一遍や忍性などの "遁世僧"が当時「非人」と総称されていた「癩者」や「乞食」などの人々を救済する様子がこと細かく載っていて温かい気持ちになります。絵入りの彼らの救済活動の様子を熟読し終えると、資料館の館長の成田稔さんが巻頭で述べていたことばの意味がよくわかります。
この企画展をご覧になって出口に向かうときには、700年も前ですら、何を病もうと人はすべて平等、浄不浄はないと考えた一遍、あるいは癩患者との接触をまったく厭わなかった忍性を偲びながら、ご自身はハンセン病患者・回復者に対して何の偏見もないか、胸に手をおいて考えてみていただければと存じます。
2013年5月 国立ハンセン病資料館 館長 成田 稔
この資料は中世の日本をいきいきと写しだしています。そして、鎌倉新仏教の素晴らしさを見事に伝えていますし、それらに救われる人々を鮮やかに伝えています。この資料の中に表現されている人間の麗しさに興奮してきます。
平等、なんてすばらしい思想なのでしょう!!
平等、ああ、こんなにもすてきな概念は他にはないと思います!
平等、ワンダフル!!!!
「一遍聖絵」 第七巻第一段「近江関寺」に描かれている癩者
先日もくわしく書きましたが、この築地塀が貴人と癩者を隔てている様子は劇的です。一遍上人たちはそれを打破してゆきます。
「一遍上人縁起絵」 第三巻に描かれている癩者
「一遍上人縁起絵」 第三巻
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すべて国民は、個人として尊重される。
生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、
公共の福祉に反しない限り、
立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
日本国憲法第14条
すべて国民は、法の下に平等であつて、
人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、
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