阿弥陀経現代語訳とその読み方ひろさちやの説く極楽浄土

2021/11/28 19:40

「あらゆる人間に存在意義がある！みんな、あるがままで、そのままで光っているのです。この大宇宙には、いなくていい人なんて一人もいないんだよ。」ひろさちや

「阿弥陀経現代語訳とその読み方」ひろさちや　中央公論新社
令和3年（2021年）10月31日　村内伸弘撮影
　

「阿弥陀経」というお経は、われわれ悩める衆生の救済を本願としておられる阿弥陀仏とその浄土（仏国土）である極楽世界を論じた経典です。阿弥陀仏の極楽浄土の光景を描写した大乗仏教の経典です。

「阿弥陀経」は古来、「無問自説の経」と言われています。釈迦が自発的に説かれた教えであり、釈迦がこの世に出現された本来の目的を説くための教えにほかならないとされています。
ひろさちや
本書より引用

信じて、阿弥陀さまにすべてをおまかせしなさい。それが他力の考え方、それが南無阿弥陀仏の念仏です。
阿弥陀経（あみだきょう）は読誦経典としてよく知られていて、僕も子供の頃からよく耳にしていたのですがなかなか良さそうな本を見つけられませんでした。無量寿経の本や観無量寿経の本はあるんですが、阿弥陀経の本はなかなかないんです。

でも、先日本屋さんでこのひろさちやさんの書き下ろし本を見つけました。阿弥陀経の原文全文と訓（よ）み下し文、現代語訳が大きな字で載っていて、その意味するところ（＝読み方）をひろさんが解説してくれています。

ひろさんの本は初めて読んだのですが、この書き下ろし作品には勢いよく随所にひろさんの信じる仏の世界が展開されてました。大乗仏教や浄土、信心などについてがとても読みやすく、わかりやすく書かれています。仏教用語や仏教の考え方、ものの見方をやさしく理解できます。

私たちは極楽世界の住人で、「苦」を学ぶためにわざわざこの娑婆世界に生まれてきた「願生の菩薩（がんしょうのぼさつ）」であるという視点にはハッとさせられました。この娑婆世界にいる僕たちはみんな日本人ではなく、在日極楽人であるというこの思想はまさにコペルニクス的転回です！

この世において、善悪なんてかりそめのものなんです。
僕はひろさんの宗教的迫力に圧倒されました！！

阿弥陀経の本なのですが、お浄土へのお土産、南無阿弥陀仏の心という章題のように後半はひろさんが目の前に現れて、僕たちにありがたいお説教をしてくれているような感覚に陥りました（笑）
たぶん、ご本人ももうすぐ浄土に帰るという遺言に近いイメージでこの文章を書かれているのではと思いました。

浄土三部経の一つ「阿弥陀経」の平易な解説とともに、ひろ仏教他力ワールドを手軽に堪能できる良書でした。おすすめです！