ヤマユリの病気: 害虫アブラムシ発生!ウイルス病(モザイク病、重複感染)に罹患、発病、枯死、全滅へ。。。
ウイルス病にかかったヤマユリ(涙)
平成29年(2017年) 上:5月9日 下:5月3日 村内伸弘撮影
ヤマユリの大敵、ウイルス病が大発生・・・
庭中いたるところに植え付けておいたヤマユリですが、一部の植え付け場所で恐ろしい病気が発生してしまっています。。。上の写真のようにヤマユリは病気にかかってしまっています。。。ユリや球根類の大敵「ウイルス病」の仕業だと思います。。。
ウイルス病は感染してしまうと治療する方法がないので、発病した株は早めに抜き取って処分したいと思います!でも非常に残念ですが、この植え付け場所のヤマユリたちはすでにウイルス病に罹患(伝染)してしまっています、植え付け場所に関していえばヤマユリたちは発病、枯死、全滅という運命を歩み始めてしまったようです。。。。
ウイルス病病
ユリは 99%ウイルス病におかされているといわれます。山野に自生して美しく咲いているユリも、園芸店で売っている球根も、家庭で咲いているユリも、ほとんどのユリがウイルス病を持っているということです。ウイルス病は一般的な病気ではなく、ユリに限らず、多くの草花、樹木、野菜などでウイルス病の防除対策が考えられていますが、目下のところ、よい防除方法はありません。
ユリのウイルス病は、ほとんどのユリがおかされているが、栽培環境が適しているとウイルス病がマスクされ、一見健全な株として生育し、栽培環境が悪かったり、アブラムシの防除をおこたったりすると、たちまち発現してくる性質をもっています。しかし、同じ場所に植えてウイルス病で枯れる株と一見正常に生育する株とがあります。この場合は、球根のウイルス病感染度の差、つまり個体差か、植え付け後の球根のコンディションなどによるでしょう。
(清水基夫・平城好明「ユリ」より引用)
病気予防は必須
山野で自生していたヤマユリを庭に植えてみたら、1~2年で病気にかかり球根が消えてなくなったという話をよく聞く。ほとんどはウイルス病のためだろう。野生ユリの球根のほとんどが、ウイルスをもっていて、環境が悪いと発病するといわれている。日射が強かったり、乾燥したり、逆に多湿であったりすると、ウイルス病が発病する。
植物を育てている人のなかには、できるだけ薬は使いたくないという人もいるが、ヤマユリは 1度発病すると、それから薬を使っても、その年にきれいな花を咲かせることはない。病気は治すものではなく、予防するものと考えるべきで、発生してからでは手遅れである。
ヤマユリ栽培の失敗は、気づいたときにはたいてい手遅れである。とくに病気は絶対に治らないと考えていただきたい。私は「すべてのヤマユリは、生まれながらにして病気をもっている」という"気持ち"で栽培している。株が充実しているあいだは発病を抑えているが、樹勢が落ちると一気に発病してくるようにみえるからだ。
(小俣虎雄「ヤマユリ」より引用)
▼5月3日
葉が黒くなって曲がり、穴が空き、ただれ縮れてしまっています。
▼5月6日
ウイルス病は症状が出た茎や葉をいち早く取り除いて、病気が他の茎や葉に伝染することを防除しなければいけないのですが、この株がこのあと一体どうなっていくのか?を1度だけ学習しておきたいのでこのままにしておきます。ウイルスは植物が枯れると伝染することはないみたいなのでブログに記録し終えるまでの間、ちょっと我慢してみます。
庭の中で他にウイルス病を発症しているヤマユリは見つけ次第、順次ハサミで根元から切り取って、処分しています。
※病株の駆除作業に使ったハサミや僕の手に汁液が付着することでも媒介してしますので注意が必要です。
茎や葉がねじれ、成長せずに完全に萎縮してしまっています。
▼5月7日
葉っぱは黒ずみ、まだら模様(モザイク状)の病斑が現れてしまっています。
茎は真っ黒になり、左側の葉っぱの先端は黄変してしまっています。
真上から見た病気のヤマユリ
明らかに葉っぱが奇形になってしまっています(涙)
茎もまったく伸びていません。立ち枯れ、間近な状況です。。。
同じ場所に植え付けている別のヤマユリ
左側の葉っぱがかなり歪んでいます、右側の葉っぱも心なしか歪み始めているような。。。個体差もありますから、なんとか右側の株には正常に生育してもらいたいです!
でも病気があたり一帯のヤマユリに伝染し始めているような感じ、イヤな予感・・・
20m近く離れた別の場所に植え付けている元気な状態のヤマユリ
葉っぱには一切歪みはなく、元気に生育しています!
▼5月8日
茎がぐにゃ~っと曲がってしまっています、、、株全体が完全に萎縮してしまっています。。。
5m近く離れた別の場所に植え付けているヤマユリにはアブラムシがついていました。。。アブラムシは、若い葉に寄生して、ヤマユリの大敵であるウイルス病の伝染を媒介します。ウイルス病に感染したヤマユリの汁液を吸ったアブラムシが健全なヤマユリに移動して汁液を吸うとウイルスが侵入してしまい健全なヤマユリが次々とウイルス病に感染してしまうそうなんです。このアブラムシくんたちの活動によって、庭のヤマユリが次々とやられてしまっているのでしょうか??
▼5月9日
黒、そして褐色になってしまったヤマユリの茎。
よじれ、丸まってしまったヤマユリの葉。捻転の仕方が激し過ぎてヤマユリが可哀相すぎます(涙)
こ、これがヤマユリだなんて、、、僕が球根を植え付けたヤマユリだなんて。。。
渋谷駅構内の岡本太郎の巨大壁画みたいな感じです(笑)
5m近く離れた別の場所に植え付けているヤマユリ。アブラムシが大量発生してしまっています。ヤマユリへの薬害に気をつけながら前の日にアブラムシ類に効果があるベニカXスプレーを散布しておきましたが、薬害もなにも、この株もこのまま枯死していってしまうと思われます。。。
「ヤマユリ」の著者・小俣虎雄さんの格言が身に沁みます。
「ヤマユリ栽培の失敗は、気づいたときにはたいてい手遅れである。とくに病気は絶対に治らないと考えていただきたい。」
ああ、小俣さんの本を読んだんだから、土壌消毒と球根消毒をしておけば良かったです。先人の知恵が凝縮された本を 2冊も読んで、ヤマユリ栽培の道に入ったのに、その 2冊ともに記載されていた病気の予防を怠ってしまいました。。。できるだけ薬は使いたくないという気持ちがあったのですが、現実は甘くなかったです。庭に植えた時点で、「自然」の状態ではないという小俣さんの考え方がやはり正しいのでしょうか?
おばあちゃん家で農薬などを使うのはどうしても抵抗があるので、もう少し色々試して、考えてみたいです。
念のため、農研機構さんに写真を見てもらって確認をしてもらいましたが、残念ながら写真だけでは正式な病名は分からないようでしたが、複数のウイルスによる重複感染の可能性が高い、とのことでした。
ウイルスの感染による症状のひどいものについては復数のウイルスによる重複感染の場合が多いです。あまりにもひどくなると、モザイク部分と健全部分の成長スピードの違いによって歪みが生じ、物理的なひびや破れが見られる場合があります。またその傷の部分に糸状菌(かび)が感染してしまうことも考えられます。本件については、このような可能性が高いと考えられます。
さらに、住友化学園芸さんに聞いてみたところ、やはり病名の特定はできないとのことでした。葉っぱの部分はモザイク病のようです。
※問い合わせ後、すぐにベニカスプレーを買いました!
村内様のお問い合わせの症状は、枯れている部分の症状より、軟腐病のような細菌(バクテリア)による腐敗が考えられますが、一方で、葉の捻転などの症状から、ウイルス病も疑われます。
百合類は複数のウイルス病が混在する場合も多く、症状からウイルスを特定することは残念ながら困難です。
ただし、葉の捻転や薄い緑のモザイク症状などは、キュウリモザイクウイルス(CMV)によるモザイク病の症状に思われます。
なお、CMV感染時にユリ潜在ウイルス(LSV)が存在すると「壊疽斑」ができるという情報がございますが、お写真のように激しく出るかについては、残念ながら弊社には知見がございません。
細菌性病害の場合、発病株の治療は不可能で、発病株は直ちに抜き取って処分する必要があります。残念ながら、弊社にはご使用頂ける予防剤もございません。農家向けの薬剤には、予防に使用できる製品があるようです。
ウイルス病の場合も、感染株は直ちに除去する必要がございます。ウイルス病の感染からゆりを守る農薬は、残念ながらございません。CMVなど、アブラムシが媒介するウイルス病対策として、アブラムシを駆除する殺虫剤を使用しますと、感染する可能性がかなり下がります。弊社製品では、ベニカ水溶剤やベニカベジフルスプレーが、アブラムシに対して 1か月程度効果を示しますので、お勧め致します。
なお、ウイルス病は管理作業中の人の指や道具を介しても感染しますので、発病株を触った手で他のユリに触れないようご注意ください。器具は消毒が必要です。
▼5月10日
降った雨に濡れるウイルスに侵されたヤマユリ
ご臨終だと思います。
この株はヤマユリの花を咲かせることなく、この世を去ります。
合掌。
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動画制作: 村内伸弘(ムラウチドットコム)
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