ヤマユリの茎切りと種子繁殖/実生(朔果から種を採り、タネまき)
ヤマユリの朔(サク)と種子(タネ)
ヤマユリの種子(タネ)
ヤマユリの種子繁殖(実生) 平成28年11月15日 村内伸弘撮影
タネによる球根生産(採種)- 秋の作業
11月中旬に群生地をまわり採種する。私は例年11月15日と決めている。朔(サク)が割れる寸前の、筋がはいっているものをとる。割れてしまった朔は、タネが飛ばされ、なくなっている。
「ヤマユリ(小俣虎雄)」より引用
10月中旬に、
・ヤマユリの鱗片挿し(鱗片繁殖)
・ヤマユリの鱗片定植/植え付け(鱗片バラマキ繁殖)
の 2つの方法で繁殖作戦に乗り出していましたが、4号ポット苗のヤマユリを庭に植え付けた時に、朔(サク)の存在を確認していましたので、上の"ヤマユリ博士" 小俣虎雄さんの文章通りに、11月15日、その朔を採って、ヤマユリの種子栽培(実生/みしょう)を試してみました!タイミングはまさに教科書通りです!!
まっ、要するに、ヤマユリの種まき(朔果から種子を採り、種を蒔く)です。プランターを使って、ヤマユリをタネから発芽させ、増殖させようという超気の長い作戦です!!
開花まで 5年もかかる(ヤマユリ時間)ので、途中で挫折しそうな気配がプンプンしてますけどwww 5年後に実生(タネから芽を出し生長させること)でヤマユリを咲かせたら、ぜひ拍手喝采をよろしくお願い申し上げます <(_ _)>
それでは、平成28年11月15日の茎切りと種子繁殖の様子を早速レポートします!
プランター(育苗箱)にタネを播きますので、まずはプランターの土づくりです。
赤玉土(小粒): 腐葉土 : 川砂 を 4:4:2の割合で配合した配合土を作ります。プランターを置く場所は家の東側(強い日差しや西日が当たらない)で午前中は日が当たり、午後は日陰になる"半日陰"です。風通しも悪くない場所です。
先ず、赤玉土(小粒)をプランターに入れます。
続いて、腐葉土をプランターに入れます。
最後に川砂をプランターに入れます。
移植ごてで掻き混ぜます
どんどんかき混ぜていきます。
ハイ! 用土(配合土)の出来上がり~ 赤玉土:腐葉土:川砂 4:4:2
プランターで育てるということは用土を理想型にできるわけなので、この選択はとりあえずは間違っていないと思います(^^)/
凸凹を手で均した後の育苗箱(プランター)
播いたタネを隠すための「覆土」用の土をバケツに入れておきます。
小俣さんは「肥料の入っている培養土を使うと、一見よく成長しているように見えるが、病気に弱いなどその後の生育に問題があることが多い」と書いていたので、迷っていたんですが、思い切って肥料の「マイガーデン(植物全般用)」を播くことに決めました。
「マイガーデン」はバラまくだけの粒状肥料ですから、こんな感じになりました。肥料を播いたのでもう一回、用土全体を混ぜ返して用土づくりは完了~~☆
それではヤマユリの種(タネ)を採りにいきます。
採種されるのを待つ庭のヤマユリたち
写真上部に 2つ見えるのが朔(サク)です。この朔の中にヤマユリのタネが入っているそうです。
上から見たところ
小俣さんは「朔が割れる寸前の筋がはいっているものを採る」と言ってましたが、一つの朔はまさにそんな感じになっていました!
ヤマユリの朔果(サクカ) ← 要するに実のこと
「割れる寸前の筋が入っている朔(サク)」
タイミングぴったりです!!
朔(サク)が割れてしまうと、この中に入っている種(タネ)は風で飛ばされてなくなってしまうそうです。僕の庭の朔はまだ割れていないので、この中に種が入っているはずです!!どんな種が入っているのでしょうか?超たのしみです!!
真上から見たヤマユリの朔(サク)
朔(サク)の大きさ
すっかり乾燥している感じです、このままあと 1~2週間放っておいたらはじけそうな状況です。
可愛らしいし、愛(いと)おしいです。
2つのうちのもう一つの朔(サク)
こっちは割れそうじゃないですし、サイズも小さいです。
小さい朔(サク)
それでは、そろそろ朔(サク)を"首チョンパ"します
僕が首チョンパしたヤマユリの朔(サク)
2つを並べてみるとこんな感じ~
右の大きな朔(サク)の方がやっぱり生命力がありそうですよね(^^)
ヤマユリの茎切り
まだこの球根は植えたばかりなので、すえ置き栽培となります。来年の開花に備えて地際で茎を切って、株元をキレイにしちゃいます。枯れて茶色くなった茎や葉っぱはそのまま捨てです。
秋から冬に向かって気温が低下していくと、地上部の茎葉は黄変し、やがて枯れます。これをそのままにしておくと、株元に枯れた葉が落ち、茎が倒れ、茎葉についていたユリの病菌が土中で冬を越し、春から育つ新芽をいためることになります。
「ユリ」清水基夫・平城好明
この真下にヤマユリの球根があります。土の中の球根から新芽が出てくる春までしばしのお別れです ^^
ヤマユリの枯れた茎と葉
皆さん、大変お待たせしました。種子繁殖(実生)に向けて、これからヤマユリの朔の解体ショーの始まり始まり~~ぃ
タネとり開始~☆ 朔(サク)を割ってみました~!!すごーーーーーーい!!結実~!!!! こんなに種(タネ)が入っている~~ぅ
どうでもイイことですが、爪が真っ黒~ 庭いじりの宿命とはいえ、もう少しきれいな指で"手タレ"したいんですけどぉ~w
ギッシリとタネが詰まってますぅぅぅ!!
この光景は衝撃的ですっっっ!!!!
まさかここまでタネが入っているとは思いませんでした。ヤマユリの生存戦略はすさまじいいです!自然界の厳しさを思いしらされる光景です。自然界の中ではこの中で生き残り、花を咲かせるのはごくわずかなんだと思います。種の保存のために、生き残る可能性があるタネはばらまくだけばらまくという強烈な方法に僕はメチャクチャ驚かされました。。。。
大きい方の朔から割ってみていますが、こんなにもたくさんのタネが整然と並ばっているとは思いもしませんでした。
皆さん、1列で何粒あるか?数えてみて下さいw
割っていると、ちょっとした弾みですぐに種(タネ)がこぼれ落ちます。ヤマユリはこの種を四方八方に飛散させてドンドンドンドン自分たちの子孫を残していくのです。
僕の指先とヤマユリの種の大きさ。ぶっちゃけ、ニンニクチップみたいw
小さくて、まだ筋がはいっていない朔(サク)を開けてみると、案の定、タネが薄っぺらくって、軽くって、生命力なさそうな感じでした。小俣さんの「朔(サク)が割れる寸前の、筋がはいっているものをとる」というのは正しいです。実感しました。
2つの朔(サク)を半分づつにしてみました。
大きい朔(サク)はもう一回割れそうでしたので、割ってみます。
割れました。朔の中は結局 6列になっているようです。
大きい朔(サク)を 3分割した様子。1列約70粒の種が計6列。約400~500粒の種が一つの朔の中に入っていました。自然淘汰を考慮し、生存競争に打ち勝つために、こんなにも多くの "生命(いのち)の源(みなもと)"が一つの朔の中に詰め込まれているメカニズムは実に感動的です!!
小俣さんの著書「ヤマユリ」によると自然界では、1000粒に 1粒しか花を咲かせることができないそうです。ということは上の写真の 4、5百粒のタネは自然界ならば「全滅」する可能性があるということです。自然界の厳しさや恐ろしさを痛感する話です。。。
種(たね) なんという甘美な言葉なのでしょうか?うっとりする程みごとな仕組み。いのちを後世につないでいくこのヤマユリの姿に心揺さぶられます!!!!
木製砂ふるいの上に、すべての種を出していきます。いよいよ、播種の準備です。
朔(サク)の何もなくなりました。
どんどん、ふるい(篩)の上に出していきます。
さあ、種が出揃います!
朔から出したヤマユリの種、これで全部です!
採種(タネとり)完了~~☆
いよいよ大詰め。用土の上に種を蒔きます!!
播く前に、ふるい(篩)の中でいい種を選別しましょう♪♪
写真右上の舞い上がっているタネは見えますか?
僕が息を「フーッ」と吹きかけたら、軽いタネは吹き飛んでいき、肉厚の重いタネたちだけが残りました。小俣さんはタネを上から下にパラパラ落としたり、浅い箱に入れて揺すってタネを跳ね上げたりしてタネの選別をしてましたが、強く息を吹きかける方法でも同じ「風選別」になるようです。生命力のない、タネたちが吹き飛んで消えていき、生命力が強いいいタネだけが残りました。見事です!!
プランターの用土の上にヤマユリの種(タネ)を 1粒置いてみました。感激の一瞬です!!このタネから、芽が出てくるなんて夢のようです!
タネが重ならないようにしながら 2~3センチ間隔で播(ま)いていきます。まき溝とかは特につくらずに大体 1列になるように播きました。
"種蒔き(タネまき)"
使い古された言葉であり、日常よく使う言葉ですが、今日ぼくはその意味を強く実感しました!!ここに新たな生命が宿るのです!!!!
タネは乾燥に弱いようなので、日陰ですばやく行っていきます。
ジャジャジャジャーーーン!ヤマユリの種(タネ) この中に命が詰まっています!!
ヤマユリの種(タネ)、播き終わりました~ キレイに並べ終えた後、ふるい(篩)の中に残っていたカスを用土の上に降り注ぎました。我ながら完璧ですっ!
ヤマユリの播種完了~~☆
用土の上に播かれたヤマユリの種たちの様子
こう見ると、種(タネ)たちにも個性があることがわかります。おんなじじゃないんです、一粒一粒違うんです。
このたくさんのタネを見ていると、ヤマユリが地球上で大いに繁殖し、生き残ろうとしている様子が実によくわかります。ヤマユリの生存戦略はこの「種(タネ)」にすべて込められているような気がしてきます。
ヤマユリは日本固有の原種のユリです。こんな小さな一粒のタネから、万葉の時代に咲いていた花とまったく同じ美しく豪華な大輪の花が咲くのです。
発芽しろ~ 開花しろ~ 僕のヤマユリのタネちゃん達っ
覆土します。タネ君たちしばらくの間、さようなら。
タネが隠れるように覆土して、土を軽く上から手で押さえます。
覆土完了~~☆ 種蒔き完了~~~~☆
蓮口をつけたジョーロで灌水します。
ジョバーーッ
水びたし~
プランター(育苗箱)の縁から水がしたたり落ちています。
灌水完了~
新聞紙をかけて、これで全行程を完了!!ヤマユリの種子繁殖(実生)に僕はチャレンジを開始しました。今日、僕が朔から採り、播いた種の中から一体いくつ花が咲くのでしょうか?自分自身でも超楽しみです!!
※地上発芽まで約1年半、開花まで 5年かかります(ヤマユリ時間)が、手間暇かけて、そして手塩にかけて育て上げます!
10月25日に鱗片挿しした鱗片たちの様子。今回の種子繁殖(実生)のプランターの真横に置いてあります。
この鱗片からも開花するヤマユリを咲かせたいです。がんばります!!!!
以上、"ヤマユリのタネまき"のレポートでした。
いやー、植物は偉大です!本当に偉大です!!
この星を花や緑で覆う植物たちと毎日の生活の中で触れ合うことで、僕は人にとって大切なことを勉強させてもらっている気がします。人間である僕は植物から人生や商売へのインスピレーションをビンビンにもらっているのです。
人(動物)と植物。
この地球という惑星の上で、大繁栄している 2つの生命(生物)。
2つの生命はいつでも、どこでもつながってるんです☆☆☆
それにしても、人間変われば変わるものです!
この僕が休みの日に、ヤマユリのタネまきをしてるなんて、
「自分でもビックリ」です!!
自分でもビックリ(早稲田実業・清宮幸太郎)
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