石積みの人間的なお墓、潜伏キリシタンの墓群との衝撃的な出会い。野道共同墓地(出津共同墓地)にて
"野積み墓"に祈る。長崎市外海・出津の急斜面にある石積みのキリシタン墓石に祈る。
潜伏キリシタンの "野積み墓(石積みの墓)" 長崎市外海の石積集落景観
動画撮影&制作: 村内伸弘(ムラウチドットコム)
潜伏キリシタンを埋葬した(と思われる) "野積み墓"
十字架が刻まれた墓石
木製の白い十字架が置かれた墓石
十字架が彫られた墓石
野積み墓
十字架
令和元年(2019年)7月29日 村内伸弘撮影
野道共同墓地
ド・ロ神父が造成した出津教会信徒の共同墓地。
急傾斜の難工事で完成までに約10年を要し、信徒が交代で作業奉仕をした。
ド・ロ神父は自分の墓を墓地の中心部に準備し、フランスから等身大のキリスト像を取り寄せ、自分の墓の上部に設置した。
信徒の墓は野積みの質素なものだったが、近年、そのほとんどが新しく改修された。最上階の子ども用墓地には昔ながらの野積み墓が残っている。
おらしょ-こころ旅より引用
明治31年(1898年)、ド・ロ神父が信徒とともに造成した出津教会信徒の野道共同墓地、更に上へ上へと上っていきます。
出津は潜伏キリシタン集落です。この石積みのお墓も潜伏キリシタン時代のお墓かもしれません。
一部分だけ、昔のままになっている状態の石積みのお墓
墓標にはマリアと書かれています
ルルドの聖母像
野道共同墓地の中腹から外海中学校が見えました
白い木の十字架を載せたお墓
メインの石段の脇にあった小高い墓所
十字架に貼り付けにされているキリスト像
マリア様
聖母子像
野道共同墓地の真ん中にある大きな十字架を後ろから撮りました
背景に写っている出津の里が本当にうつくしいです!!
まだまだこの墓地は上へ上へと続きます
振り返って見たところ
梅雨明けした令和元年(2019年)、夏の長崎。僕はこの急斜面の石段をどんどん上ってきました。麓の外海中学校の校舎が更に小さくなりました。
とその時!!
うわーっ!
潜伏キリシタンの野積み墓でしょうか??
石積みのお墓が無数ワイルドに横たわっていました!!!!
息を飲むようなものすごい光景です!
野積み墓の横には十字架が添えられて立っています
ショックを受けた僕は呆然としつつも、カメラのシャッターを押し続けました。。。
草むしたひらべったい石の墓たちはなにをか語り、なにをか答ふ。
過し世を静かに思へ、百年も昨日のごとし。
うつくしいうつくしい出津(しつ)の里
十字架が浮かび上がっているキリシタンの墓石
これは十字架がハッキリ描かれているので、禁教時代のお墓ではないと思われます。
ニッポンでは古来お墓とは、こういうものだったのでしょうか?
頭が混乱して、収拾がつきません。。。
不思議な、不思議な光景です。
でも、こんなにもうるわしく、繊細でうつくしいお墓は日本中どこにもないと断言できます。
僕が生まれてから 51年間、今まで見た中で "もっともお墓らしいお墓"、"もっともうるわしくうつくしく人間的なお墓"がこの野道共同墓地であることは疑いようがありません。
誤って踏んでしまわないようにゆっくりゆっくり慎重に墓地の中を進みます。
この写真見て下さい!!
茫然自失です。夢うつつです。でも、僕の心の中で「人間」という生き物が躍動しているのがわかるのです!!!!!!!!!!
ツクツクボウシが鳴いています。
「昭和32年10月吉日 改葬碑 出津教会側の墓地改葬」と金色の文字で刻まれています
更に上に石段が続いています。もうだいぶ高い場所に僕はきています
うわっ!またしても潜伏キリシタンの野積みの墓群です
すごい数です!年代も古そうです!!
但し、ここ野道共同墓地は明治31年(1898年)に造られた墓地なので、お墓の造成時にはすでに禁教期は終わっていました。ド・ロ神父も "司教"としてここ出津で活動していたわけですので潜伏キリシタンのお墓ではなく、純粋にカトリック信徒の皆さんのお墓なのかもしれません。
おびただしい数の墓石
令和のニッポンにまだこういう「お墓」が残っていたなんて・・・
衝撃的な光景に僕はただただ言葉を失い、ただただ頭を下げ、祈るばかりです。。。
そして、更に上、石段を上りきったところには・・・
更に数え切れない数の墓石が並んでいました
ここ野道共同墓地は「長崎市外海の石積集落景観」の一部になってはいましたが、それにしても強いカルチャーショックを受けてしまう衝撃的な光景です!!
これはお墓なのです。
ここは墓地なのです。
野道共同墓地の最上階に僕はたった今たどり着いたのです。
インターネット上では「最上階の子ども用墓地には昔ながらの野積み墓が残っている。」と説明されていたので、もしかするとこのエリアは幼くしてこの世から去らざるを得なかった子供たちのお墓かもしれません。。。
流産や早産、病気や事故などによって不運にも現世の恵みを受けることができなかった胎児や幼児たちの霊魂が祀られている神聖な場所なのかもしれません。。。
こんな山の上に、これだけの人(子供?)たちが眠っていた。。。潜伏キリシタンたちの過酷な歴史を思うと、ただただ厳粛な気持ちになってきます。
驚きです。
ビックリです。
そして、うろたえてしまいます。。
墓石に刻まれた十字架
結晶片岩(けっしょうへんがん)が石積みされた出津独特の墓石群
こんな山の上まで誰がどうやってこのたくさんの石を運んだのでしょうか?
出津の死者を弔う敬虔な気持ちや祈りがヒシヒシと伝わってくる独特の光景を前に、僕は心臓の鼓動が鳴り止みません。
山の急斜面が切り開かれていて段々になっているので、下の段がこのように上から見えました。
長崎市外海の石積集落景観。この外海独自の石積文化がこのキリシタン墓地の景観を作り出しています。
葬られている人々に失礼がないように、ゆっくりゆっくりこのカトリックの共同墓地の中を歩きます
静かですが、蝉や虫が鳴いています。
僕は目を瞑り、無念の気持ちで死んでいった人間がこの場所に埋葬される様子を想像しました。
この野積みのお墓は子どものお墓なのか?
この地域の墓制について詳しいわけでもありませんし、確認するすべもありません。想像力を働かせるしかありません。
大量の平らな石積みのお墓を前に僕は今この国の奥深さや厚みを心の底から実感しています
墓石の間から植物が顔を出していました。まるで生と死の共演です。
そろそろ、東京へ帰ります。
長崎空港発の飛行機の時間があるので、バスに乗って来た道と逆で長崎新地ターミナルへ戻ります。
さようなら "野積みの墓"よ
暑い中、必死で上ってきた石段を一気に下ります
あんねい橋 バス停
バス停からも丘の上の出津教会が見えました
この世界遺産の教会は、出津の里のいたるところから望めるのです。
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