無着成恭(むちゃく せいきょう)が中学生に示した生活の指針。戦後の教育界・文化界に衝撃を与えた教育方針!
こんな先生がいたんだ!
今年の夏の一冊とか宣言しておきながら、ぜんぜん読めていなかった「日本の新興宗教(高木宏夫)」を読みました。2章「戦後の大衆思想運動」の中で"山びこ学校"について記述がありました。山びこ学校は山形県山元村の中学生に社会科を教える学校教育です。
山びこ学校って聞いたことはあったんですが、この"六つの誓い"というのは初めて知りました。教育界とか文化界の方はすでにご存じかもしれませんが、とても良い誓いなので、ムラゴンズの皆さんに紹介します。
子供たちにこの"六つの誓い"が与えられ、生徒たちがいつもこの言葉を口にして、生活の指針としていたことが印象的です!
知ってますか?無着成恭さんって、TBSのこども電話相談室の人ですよ。皆さん、絶対一度は声を聴いたことありますよね(^^)
"六つの誓い"が載っていた岩波新書 高木宏夫「日本の新興宗教」
山びこ学校の六つの誓い
・いつも力を合わせていこう
・かげでこそこそしないでいこう
・いいことを進んで実行しよう
・働くことがいちばん好きになろう
・何でも、なぜ?と考える人になろう
・いつでも、もっといい方法がないかさがそう
昭和26年/1951年 無着成恭 山形県山元村
いいでしょ~!!
いいですよね!!
シンプルだけど、めちゃくちゃいいと思います
「いつも力を合わせていこう」とか、もうこの誓い一つだけで、この中学校のクラスがすばらしいクラスだったことが目に浮かびます(^^)
「いいことを進んで実行しよう」とかも、"いいこと"とは何なのか?生徒たちが自分自身で考えるようになりますよね。そして知行合一で、考えるだけではなく実行する。実践する。これも実に力強いモットーだと思います。
「働くことがいちばん好きになろう」
これは今の日本全体の閉塞感を一気に吹き飛ばすエネルギーを秘めた言葉です!僕はそう思ってゾクゾクしました。今って、働いたら負けとか、社畜とか、ブラック企業とかなんだか仕事するのが悪いこと、バカみたいなことって感じの風潮がはびこってますよね。いかに働かないで楽をしようかって考えている人がやたらと多そうですよね。
でも、無着先生の教育は違います。100%真逆です。「働くことが一番好きになろう」ですから!!この規範と言うか、志と言うか、もうこの言葉を生徒たちに繰り返し繰り返し伝えたことで無着先生の教育はパーフェクトです。
戦後、日本人は働きに働いたと僕は思っています。いやいや明治維新以後、日本人は一貫して働いてきたと思います。誰もがみんな働くことが一番好きならば、すごく良い社会になりますよね。もちろん休んだり、趣味に没頭したりといろいろ楽しみながらですけど。
蜂の世界で働き蜂の中に必ず一定の割合で怠け蜂がいるなんて話もありますし、三年寝太郎なんて民話もありますし、全員が熱心に働くってのは現実無理かもしれません。今の世の中、多様な価値観やライフスタイルがあるというのも事実ですし、過労死とかの悲劇があるのも承知しています。でも、これから未来を担う小学生や中学生のみんなに対して、「働くことがいちばん好きになろう」と語りかける教育者が日本にいたことが僕はうれしいです。
言い切ってますから。
「働くことがいちばん好きになろう」と無着先生は完全に言い切ってますから。
断言してますよ!!
まあ、僕も働くのかなり好きな人間なんで、働くことの喜びや意義を噛みしめ、この言葉を胸に刻み、仕事が何よりも一番好きと言い切れるようにしていきます。仕事はムラゴンなので、要するにムラゴンが一番好き!ブログが一番好き!と言い切れる人間になっているかどうか?折に触れて自問自答していきます♪♪
無着成恭先生、すばらしい誓いをありがとうございました~☆
ちなみに天理教の教祖 中山みきさま(おやさま)はこうおっしゃってます
働くというのは、はたはたの者を楽にするから、はたらくと言うのや。
なので、働くというのはいわゆる労働だけではなく、他人や社会に対するあらゆる実践や行動を含むものなのです。労働に限らない広い意味での「働く」、無着先生のこの思想はおやさまや観音さまの慈悲の領域にまで高められると僕は感じています!すごいでしょ!!
それから、おじいちゃんが読んでいた澤木興道という僧侶の本の「生死悠々」という章の中にはこんな一説もあります
人間は、仕事をすると堕落する。遊ぶ人には堕落がない。また仕事がそのまま遊びであるということなら、これくらい幸福な人はない。仕事のほかに遊びを求めなければならないという不経済な人も世の中にはいる。私が若いときに、熊本の第五高等学校の生徒がよくいったものである。「和尚さんは、勝手なことをしゃべって、そうしてそれが仕事で、それが慰さみじゃけんな」といって「よか商売バイ」といった。遊びと仕事と一つである、これくらい幸福な人間はないと思う。「観音経」の普門品の中に、「云何遊此娑婆世界」とある。観音さまのことを、「云何してか此の娑婆世界に遊ぶ」という。観音さまはどうして遊んだか。孔子の「論語」だったかに、「その人の安んずるところ、それ何をかいわんや」とある。その人の安んずるところに、その人の人となりがある。その人の遊びは何をして遊んでおるか。坐禅して遊んでおる、これくらい高尚な遊びはないのだ。
私のは、坐禅が遊びであると同時に商売でもあるから、これはまたありがたい話。またしゃべるのも仕事ではないので、しゃべって遊んでいるのだから、これもまた結構な商売である。観音さまは、三十三身十九説法といって、これが観音の遊びである。あの「応以仏身得度者、観世音菩薩即現仏身、而為説法」・・・・・・。つまり、まさに仏身をもって得度すべき者には、観世音菩薩即ち仏身を現じて為に法を説く、これが観音さまの遊びである。
働くじゃないんです!
仕事じゃないんです!
遊びなんです!
高尚な遊びなんですよ!!笑
この澤木禅師の文章を読んだら、無着先生は何とコメントしたのでしょうか?
天国にいる無着先生にぜひ聞いてみたいです♪♪
禅とは何か 証道歌新釈 澤木興道
1968年/昭和43年10月2日
村雄おじいちゃんが禅とは何か 証道歌新釈を買った時のくまざわ書店八王子駅前店のレシート
PS
そういえば、靖国神社境内にある記念館も遊就館と言って "遊"という漢字が使われています。特攻隊や国事殉難者の先輩たちを讃え、慰める施設に "遊"という文字が使われているのが印象的です。中国の古典、「荀子」勧学篇の中から選ばれたそうですが、古代中国では自分自身の人格や磨き、自己を高めることを "遊ぶ"と言ったそうです。社会的な貢献をすることを "遊ぶ"と言ったそうです。
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