リチャード三世の魅力。人生を謳歌する悪党!ウイリアム・シェイクスピアの悲劇の主人公
ローレンス・オリヴィエが演じた「リチャード3世」をセックス・ピストルズのジョニー・ロットンが大好きでその動きをステージアクションとして取り入れていたというのは有名な話です。
「リチャード三世」の公演プログラム
「苦難の冬が去り、ヨーク家の栄光の夏が訪れた」
「ルパン三世」は知ってても、「リチャード三世」を知っている日本人は少ないと思います。僕はたまたまジョニー・ロットンがリチャード三世が好きだったという話を聞いたことがあったで昔から知ってました。あの大作家シェイクスピアが初めて書いた悲劇で、王冠をめぐる壮大なドラマです。殺戮に身を投じ、一気に王位に駆け上がり、真っ逆さまに転落するグロスター公リチャードという稀代の奸物(殺人鬼)の物語です。
今日、この公演プログラムを改めて読んでみました。
リチャードの魅力やその他気になった言葉がいくつかあったので皆さんにご紹介しちゃいます。
グロスター公リチャードは、自らのハンディキャップをはじき返すことを生きがいにしてきた。現にかくある自分を書き換えようとし、かくありたい自分を演じることに人生をかけた人物だと思う
(演出: 鵜山 仁)
王冠を自らの頭に載せるために邪魔な奴らを消していくリチャードは、欲望のままに生きる悪の魅力に満ちている。
(東大教授: 河合祥一郎)
中世では神がすべてだった。人の生きる道は神が定めてくれた。ところが、ルネサンスの時代になって、人は自分で自分の人生を決められるという新たな考えが出てきた。人間は自由であり、自分で自分を作り上げていくことができる --- その新しい発想こそ、ルネサンス演劇興隆の源だ。運命を己の思いのままに操って自己実現を達成しようというルネサンスの時代思想が、リチャードの強烈な悪の根底にあるのである。
(河合祥一郎)
仮にリチャード三世に魅力があるとしたら、それはただ「悪」だからということではないのだ。ただ一人で、その信念に基づいて行動するというところが魅力的なのである。
(作家・比較文学者 小野谷 敦)
「自分ひとりで戦い抜く決意をする。」
リチャード三世に魅力があるとしたら、それは、サイの角のように一人で行く者の魅力なのである。
(作家・比較文学者 小野谷 敦)
人生、巻き込まれたら悲劇、距離を置いて見れば喜劇 --- 己の欲望のおもむくままに、悪党が悪党らしく大暴れする。極悪人リチャードは最後まで悩まない。ラストは火の海に自ら飛び込む。
(青学大教授: 狩野 良規)
自分とは何者か?
自分は一体何者なのか?
そんな問いに興味がある方は、小説や舞台、漫画などでリチャードに会いにいってみてください。
平成24年度(第67回) 文化庁芸術祭協賛公演「リチャード三世」の公演プログラム
新国立劇場開場15周年 新国立劇場
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