「空海の足跡」五来重 - 永遠に生きて衆生済度する弘法大師

空海の足跡 - 五来重(角川選書)

空海の足跡 五来重



昨日も書きましたが、今年の僕のテーマは「人間とは何か?」です。「仏教(空海)」を学んでその答えを探します。今回は宗教民俗学の巨人・五来重(ごらい しげる)さんの論考をまとめた「空海の足跡」を読みました。


永遠の生命!即身成仏(人が仏になる)!!
五来さんの民衆や庶民を起点にして見た「空海」は、まさに燦然と輝いていました!論考のまとめのため内容にところどころ重複がありましたが、見事に"歴史上の空海"ではなく、"信仰上の弘法大師"が描かれていました。



五来 重 「熊野詣 三山信仰と文化」再読で "死者の国" 熊野古道行きに備える
五来 重 「日本人の死生観」… 死後の世界、そして人間とは何か?


五来さんの本は歴史の専門用語が多い上に、隙がまったくないので、読むのがかなり疲れるんですが、その疲れの何倍もの知的興奮を与えてくれるんです!この「空海の足跡」も同じでした。



高野(たかの)の山の岩陰に 大師はいまだ在(おわ)しますなる。
弘法大師はいまも生きている!


弘法大師は全智全能であって、しかも祈るところにはいつもあらわれ、四国を歩いていると、いつでもそばをついて歩かれる。同行二人で歩いてくれる。しかも、死なないでいつまでも生きている。宗教的救済者としての弘法大師は、庶民信仰のなかに現に生きている。
弘法大師は霊異の人!入定して、永遠に生きて衆生済度する宗教的弘法大師!!



空海の足跡 - 歴史上の空海を信仰上の弘法大師に結びつける注目の書

なぜ、弘法大師はいまなお宗派をこえて崇敬されるのか。また、どうしてさまざまな奇跡にみちた大師像ができたのか --- その秘密は青年時代に空海がおこなった辺地修行や山林修行にある。空海の足跡を宗教民俗学の立ち場から追跡し、歴史上の空海を信仰上の弘法大師に結びつける注目の書。


空海の足跡 - 空海の原像をさぐる。

空海の原像をさぐる。
ひとは弘法大師の跡を追って四国八十八か所を巡る。では、大師はなにを求めて回ったのか。---


空海の足跡(五来重) - 歴史上の空海と弘法大師の信仰を結ぶ

歴史上の空海と弘法大師の信仰を結ぶ
カバー・表紙・扉絵: 高野大師行状図画(白鶴美術館蔵)


空海の足跡 - 目次

目次より


1 - 高野山の風土
高野山の山岳宗教
高野山の行人と山岳信仰
高野山の密教的風土


2 - 空海の世界
空海の足跡
空海の原像 -山岳宗教と入定信仰-
空海の真言密教と行的世界
垢離と捨身 -空海・密教・修験道-
空海を解く -空海と善通寺・入定をめぐって-


3 - 弘法大師信仰
弘法大師空海と庶民信仰
高野山と弘法大師信仰 -山岳宗教と入定-



空海の足跡 - 弘法大師は日本の聖者信仰の頂点にある。

弘法大師は日本の聖者信仰の頂点にある。
そうすると学問的になぜ、弘法大師にこのような庶民信仰が集まったのか、という疑問にこたえなければならない。実際に空海という人物は信仰されるカリスマであり、全智全能そして偏在であったのか。あるいはそのような宗教的属性はあとで付加されたのか、という問題である。



最後に空海の人間性や民衆や庶民に関する五来さんの話をご覧ください。僕が感銘を受けた記述だけを引用しています。


空海の人間性には外向的な面と内向的な面の二面性があったと考えなければならない。入唐求法や貴族との交流、詩文や書道の文化活動、宗教経典の解題や論著、法要と修法にともなう密教文化の紹介などは外向性のあらわれである。空海はその外向性だけで論評されていたので、宗教的内面性が明らかにされなかった。この内面性は青年時代のひたむきな辺路修行、山岳修行を詳細に分析すればよくわかる。その宗教体験のゆえに、彼は他の宗派の祖師たちとちがった神性が付与されて、全智全能偏在、永遠不滅の信仰的弘法大師になったのである。

民衆のもとめる弘法大師は、あくまでも人生の悩みや苦しみの救済者である。

宗教という精神文化は本来、反文明という思想の上に存在するものなのである。

捨身者の霊は永遠に生きていて衆生を救済すると信じられたので、入定捨身した空海は今も生きているという信仰になった。

この日本がやはり仏教によってこれだけ救われてきているのです。悩める人が皆生きがいを感じながら生きてきたのです。お大師さんがオールマイティーの神さまだと信じて救われてきた。文化人は皆、「いや、そうじゃない、弘法大師は天才的文化人である。偉大なる文化人である」といいますが、民衆はそうではありません。お大師さんが何でも救ってくれると信じている。この素朴な信仰を大事にしないと、民衆のもとめる弘法大師の信仰というのは壊れてしまいます。その民衆の心を大事にするような学問、あるいはその主張がなければいけないと私は思っているもんです。

弘法大師空海は日本の宗教者のなかで最大のカリスマであって、そのためにもっとも広く庶民信仰を集めている。それは空海の教学といわれる著書の、「即身成仏義」や「吽字義」や「声字実相義」、あるいは「秘蔵宝鑰」や「十住心論」とは、まったく別の世界である。庶民はそのような著書の名はおろか、その内容も思想もまったく知らない。しかも日々、何十万、何百万もの日本人がその名を口にし、心の拠りどころとし、「南無大師遍照金剛」を唱えている。宗教とはまことに不思議なものである。

庶民が作り上げた弘法大師は、いまも庶民とともにあり、信ずる者にはこれにこたえる。

私が仏教民俗としての庶民仏教の価値がわかるまでには、長い年月を要した。その間には柳田国男翁との出会いもあるが、戦後過疎化してゆく農村漁村に生活する人々の心に触れる調査をとおして得られたものが多い。学問というもの、宗教というものは、庶民から離れた一段高い所にある格好のいいものではなくて、庶民の生活と精神に根を下した泥くさいものこそ本物であるということを、私はその人々から教えられた。

これらの聖(高野聖)は念仏もすれば真言もとなえ、法華経を読み大般若経を転読し、神祇を崇拝し苦行もするという、宗教宗派にこだわらないおおらかな宗教者であった。私はそれまでお寺参りに拍手を打ち、神社の前で念仏をとなえる人の無知を笑っていたが、このような庶民信仰にふれてからは、思い上がった知ったかぶりを恥じるようになった。



弘法大師はやはり "民衆の求めている救済者"だったんです!いや、素朴で清らかで、おおらかな庶民の精神構造が弘法大師を偉大ならしめたんです!!いつも思います。五来さんの思想は実にすばらしい(^^)


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高野山は、いうまでもなく平安初期に空海がひらいた。


山上は、ふしぎなほどに平坦である。


そこに一個の都市でも展開しているかのように、堂塔、伽藍、子院などが棟をそびえさせ、ひさしを深くし、練塀をつらねている。枝道に入ると、中世、別所とよばれて、非僧非俗のひとたちが集団で住んでいた幽邃な場所があり、寺よりもはるかに俗臭がすくない。さらには林間に苔むした中世以来の墓地があり、もっとも奥まった場所である奥ノ院に、僧空海がいまも生けるひととして四時、勤仕されている。


その大道の出発点には、唐代の都城の門もこうであったかと思えるような大門がそびえているのである。


大門のむこうは、天である。山なみがひくくたたなづき、四季四時の虚空がひどく大きい。大門からそのような虚空を眺めていると、この宗教都市がじつは現実のものではなく、空に架けた幻影ではないかとさえ思えてくる。


まことに、高野山は日本国のさまざまな都鄙のなかで、唯一ともいえる異域ではないか。


司馬遼太郎


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