「空海の風景」を旅する - 日本仏教史上の巨人 弘法大師の絶対平等!

『空海の風景』を旅する  NHK取材班  中公文庫

『空海の風景』を旅する  NHK取材班  - 中公文庫


空海が社会に向けた眼差しは、密教における大日如来の宇宙観 - すべてに「仏性」が宿り、その一点においては万物が平等であり差別がない - の実現という根本的信念に支えられていた。


空海は、絶対平等社会である仏の世界と、人間が住む現実社会の間を往還し、理想社会のメッセンジャーになろうとしていたように思う。



「人間とは何か?」
今年の僕のテーマです。


特に「仏教(空海)」と「平等幸福社会」という小テーマを自分の中に設けていますので、この本を手にしてみました。


思想書ではなく、NHK取材班のドキュメンタリー的な読み物なので、冗長な感は否めませんが、読みやすい文体で空海の生涯を司馬遼太郎の「空海の風景」を追いながら描いています。


僕は平安仏教は鎌倉仏教に較べて難解だと感じているのですが、この本は空海の思想よりもその行動や人生を描いているのでとっつきやすかったです。


特に劇的だと感じたシーンは、空海が第16次遣唐使の一員として唐に渡ったところです。乗り遅れた船が暴風に遭い都に引き返し、滑り込みで空海は乗船に成功し、多様な民俗と宗教、文化が混沌と混じり合っていた世界最大の国際都市 "憧れの長安"にたどり着けました。そして、入唐し成果を上げた空海がは 20年間という規程の滞留期間を大幅に繰り上ることに成功し、日本に帰国できたのです(この繰り上げができなかったら空海は帰国のタイミングを逃し、空海の生涯は唐で閉じられていたそうです!)。


空海がもし入唐できなかったら、
空海がもし唐から帰国できなかったら、
歴史に「たられば」はないのですが、
運命は間違いなく若き空海に味方したのです。
劇的です!実に劇的です!!


それから、
釈迦仏教において煩悩として否定されてきた人間の本能的な営み、それも含めてあらゆるものは清浄であり、我々の生きる宇宙は慈悲に満ちた世界であって、絶対的に肯定されるべきものであるという「理趣経」の思想


あと、
聖も俗もなくすべては宇宙の原理の前に平等である、という絶対平等主義。


この辺りの記述には興奮しました!!


その他、いろいろな空海のエピソードや事績が読みやすく綴られているので、司馬遼太郎自身の「空海の風景」を読む前の導入として目にしておくと、司馬本「空海の風景」の理解が進むと思います。僕も今年中に司馬本「空海の風景」にチャレンジしたいと思いました。


『空海の風景』を旅するのカバー写真 「高野山金剛峯寺奥の院参道」

『空海の風景』を旅するのカバー写真 「高野山金剛峯寺奥の院参道」


『空海の風景』を旅する  NHK取材班

『空海の風景』を旅する  NHK取材班


空海の風景 - 讃岐、奈良、室戸、福建、長安、博多、東寺、高野山

讃岐、奈良、室戸、福建、長安、博多、東寺、高野山・・・・・・。司馬遼太郎の最高傑作の舞台を訪ね、その思索のあとを導きとして、「人類普遍の天才」空海の現代における意味を考える。NHKスペシャル「空海の風景」として映像化した番組制作スタッフによる歴史紀行。


『空海の風景』を旅する - 中央公論新社

『空海の風景』を旅する - 中央公論新社


マーカー引いたので、重要な部分だけ、何度か読み返したいと思います。



最後になりますが、エピローグに収録されていた人間としての「空海」ではなく、貴賤老若男女の中に棲む「空海」をご紹介させて頂きます。僕はこの人々の中の空海こそが本当の「空海」だと思いました!!!!まさに絶対平等の世界です!!


汚ねえもの着て髪がボウボウになった格好して歩く人を「ほいど」っていうんだよ。ここらへんの言葉で言葉悪いから使っていいんかな。「ほいど」って乞食のこと。乞食とはちょっとちがうかな。おらが小さいときも「ほいど」はたくさん歩いてたんだもの。子どもつれてなあ、歩く人もあったんだ。そういう人はしょっちゅう来たんだ。婆っちゃんは、そういう人見つけては、上がってくんなしー、上がってくんなしーって。おにぎりだとか焼餅だとか、そういうもんに味噌や胡麻なんかつけて。お芋やお餅とか。誰が来ても上がれ上がれって、知らねえ人でも何でも婆っちゃんはみんな上げた。昔は弘法さんもこうやって修行して、「ほいど」になって歩いたんだって。こんなふうに弘法さんも腹すかして来たのさ、「ほいど」さんだって何だって分け隔てするもんじゃねえって。変な顔つきしてる人が来ても、実際悪さしたわけでもねえし、そしたらみんな同じなんだって。誰だってごちそうすんだと。帰るときは、行きながらおあがりって、きゅうりとか沢庵漬けとか切らねえで一本あげるの。婆っちゃんはそうやって暮らしてきたんだべし


婆っちゃんは「東北の神武たち」のおかね婆あさんと同じじゃん!!


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高野山は、いうまでもなく平安初期に空海がひらいた。


山上は、ふしぎなほどに平坦である。


そこに一個の都市でも展開しているかのように、堂塔、伽藍、子院などが棟をそびえさせ、ひさしを深くし、練塀をつらねている。枝道に入ると、中世、別所とよばれて、非僧非俗のひとたちが集団で住んでいた幽邃な場所があり、寺よりもはるかに俗臭がすくない。さらには林間に苔むした中世以来の墓地があり、もっとも奥まった場所である奥ノ院に、僧空海がいまも生けるひととして四時、勤仕されている。


その大道の出発点には、唐代の都城の門もこうであったかと思えるような大門がそびえているのである。


大門のむこうは、天である。山なみがひくくたたなづき、四季四時の虚空がひどく大きい。大門からそのような虚空を眺めていると、この宗教都市がじつは現実のものではなく、空に架けた幻影ではないかとさえ思えてくる。


まことに、高野山は日本国のさまざまな都鄙のなかで、唯一ともいえる異域ではないか。


司馬遼太郎


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